日大理工鉄研・鉄愛会報 EXPRESS 35

『京成電鉄について　～競合路線との比較～』

社会交通　１年　山﨑　耕平

１．はじめに

　社会交通１年某氏によって著しく評判の悪い京成電鉄であるが、先入観無しで競合路線との比較をしてみようと思う。

２．京成電鉄概要

　京成電鉄は以下の路線を有する。

表１.京成電鉄の全路線

名称	区間	区間長（km)
本線	京成上野～成田空港	69.3
押上線	押上～青砥	5.7
金町線	京成高砂～京成金町	2.5
千葉線	京成津田沼～千葉中央	12.9
千原線	千葉中央～ちはら台	10.9
東成田線	東成田～芝山千代田	2.2

　千葉県内ではJRの次に営業キロが長い鉄道会社であり、新京成電鉄・北総鉄道・芝山鉄道といった京成グループの鉄道路線も多いので、最も千葉県民に密着した私鉄であると思う。

３．千葉線について

（１）概要

　千葉線は京成津田沼から千葉中央に至る路線であり、全線を通して近い場所にJR線の線路がある。昼は新京成線の乗り入れがあり、松戸・新鎌ヶ谷方面から乗り換えなしで千葉まで来ることができる。

写真１　千葉中央駅に乗り入れている新京成車両

（２）北習志野から千葉市中心部へ行く場合

　　大学への通学で利用している人も多い新京成線の北習志野駅から千葉市中心部へ行く場合、京成津田沼駅で京成線に乗り換え、もしくは新津田沼駅でのJRに乗り換え、２種類の行き方があると思われる。

A.京成津田沼で京成線に乗り換え

表２.Aパターンでの運賃

新京成線（北習志野→京成津田沼）	１６０円
京成線（京成津田沼→京成千葉・千葉中央）	２５０円
合計	４１０円

　昼間には新京成が千葉中央まで２０分間隔で乗り入れるので、乗り換えをせずに千葉まで行くことができる。しかし乗り入れする時間帯が千葉中央行きは平日は松戸発８時４２分から１５時４４分と短く、利用しやすいとは言えない状況である。
　運賃に関してもJR線に乗り換えする場合より６０円高く、所要時間もJR線経由と大差ない為、乗り入れ以外にメリットは無いと思われる。しかし、その乗り入れも昼間のみなので、そのメリットも大きくはないと思う。
　朝や夜間も最低１時間に１本程度乗り入れをすれば、使い勝手も良くなり、利用者も増えるのではと思う。

B.新津田沼でJR線（津田沼）に乗り換え

表３.Bパターンでの運賃

新京成線（北習志野→新津田沼）	１４０円
JR線（津田沼→千葉）	２１０円
合計	３５０円

　京成線より６０円安いが、新津田沼駅と津田沼駅は約３００ｍ離れており、乗り換えをするには交通量の多い道を歩かなければならない。そのため予想以上に時間がかかり、乗りたい列車に間に合わない場合がある。

４．千原線について

　千原線は千葉中央からちはら台に至る路線であり、千葉急行電鉄の路線を買い取ったものである。そのためか他の京成線と運賃が別になっていて高額である。他の京成線から千原線を利用する場合には、千原線以外の京成線の運賃と千原線の運賃の合計となってしまうため、更に高額になってしまう。写真２は京成津田沼駅の運賃表である。千葉中央から先の運賃がはねあがっていることがわかる。

写真２　京成津田沼駅　運賃表

千原線は１０．９ｋｍあり全線通しての運賃は３５０円である。他の京成線で同じ距離乗った場合の運賃は２５０円と千原線が他の京成線よりも高額であることがわかる。
千原線の学園前駅とおゆみ野駅と同じ「おゆみ野」地区にJR外房線の鎌取駅がある。この鎌取駅から千葉駅までの運賃は１９０円であるのに対して、学園前駅、おゆみ野駅から千葉中央駅までの運賃は３１０円、３００円であり、京成千葉駅までの運賃となると、特定運賃が適用になるものの、３６０円、３７０円とJR線の２倍近い運賃となってしまう。
千原線も他の京成線と同じ運賃体系ならば、学園前駅、おゆみ野駅から千葉中央駅、京成千葉駅までの運賃が１８０円となり、JRよりも１０円だが安くなるので、利用者も増えるのではと思う。

５．スカイライナーについて

写真３　スカイライナー

　スカイライナーとは京成電鉄本線を全線通して運行される列車であり、成田空港へのアクセス列車である。京成上野駅から成田空港駅までを約１時間で結んでいる。全車指定席で特急料金が必要である。京成上野から成田空港までだと運賃１０００円の他に特急料金９２０円が必要で合計１９２０円となる。
JRの成田空港へのアクセス列車として成田エクスプレスがある。こちらは横浜や大宮、新宿発など発駅の種類が多い。東京駅からの場合成田空港まで約１時間であり、スカイライナーとほぼ同じ所要時間である。成田エクスプレスも全車指定席で東京から成田空港の場合、運賃１２８０円に特急料金１６６０円で合計２９４０円が必要である。
スカイライナーは成田エクスプレスと比べ１０２０円安く、所要時間もほぼ同じであるので、成田エクスプレスよりスカイライナーのほうが利用しやすいものだと思われる。

６.感想

　他に調べたいものは多くあった。例えば本線の運行体系や新型スカイライナーなど。しかし時間が無く、思う存分調べることができなかったことが心残りである。
　調べてみてスカイライナーの低価格以外はほとんど競合路線であるJRよりも劣ってしまっている印象を受けた。これからの京成電鉄はどうなっていくのか心配に思うようになった。

参考資料　　　交通新聞社　JR時刻表　２００８年２月号
　　　　　　　　　MY LINE　東京時刻表　２００９年５月号
　　　　　　　　　京成電鉄　　京成時刻表　Vol.２４－３

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